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学術誌 Journal of Bioscience and Bioengineering オンライン版掲載のお知らせ

好熱菌発酵物が、養殖用配合飼料としてコイの肉質中の過酸化脂質と遊離アミノ酸濃度に与える影響に関する研究成果発表

2016年3月24日付で、好熱菌に関する最新の研究論文が、学術誌Journal of Bioscience and Bioengineeringのオンライン電子版に掲載されました(千葉大学、宮崎大学、水産大学校、東北大学、京葉プラントエンジニアリングなどとの共同研究成果)。
筆頭著者である田中竜介准教授(http://www.agr.miyazaki-u.ac.jp/~fishery/staff/staff13/)は、長年、水産食品ならびに食材となる水産生物に含まれる化学成分の分析を行い、水産食品品質ならびに水産生物の健康状態を評価する方法を開発しています。田中准教授は、当該技術を活用することによって、弊社の宮本CTO(千葉大学客員教授)らとともに、好熱菌の有効性の検証を水産分野で進め、新たな知見を得ることに成功しました。 本論文は、好熱菌を活用した発酵飼料を養殖用の配合飼料としてごく少量添加することによって、淡水魚の肉質の改善、特に肉質の劣化の指標の一つである過酸化脂質の低減や旨味成分に関与する遊離アミノ酸の増加に貢献する可能性があることを示しています。 豚や鶏のみならず、養殖魚の生産技術の改良においても好熱菌が有望であることが強く示唆されました。

養殖魚の生産におけるメリット:
既に、海水魚であるヒラメの生産において好熱菌発酵飼料が遊離アミノ酸の増加に寄与することが示唆されていましたが(Tanaka et. al. J Gen Appl Microbiol. 2010 Feb;56(1):61-5.)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20339222)、淡水魚モデルを活用した本研究成果によって、好熱菌の有効性の一端が明らかになりました。 なお、水産分野では、売買目的にならない非食用の魚を無駄に輸送しないために、それらの魚を無断で海上へ投棄することなどが問題となっていましたが、近年、EUでは、魚の海上投棄自体が禁止されております(http://www.afpbb.com/articles/-/2931523?pid=10365530)。また、水産食品加工場では、一般的に大量の魚の内臓や骨などの残渣の処理に廃棄物処理のための多額の費用がかかっています。 好熱菌を活用した養殖用の発酵飼料は、非食用の水産資源残渣を高温発酵して生産可能であることが明らかになっており、経済産業省の委託研究・戦略的基盤技術事業(平成22年)の対象研究となっておりました。本研究成果によって、今後、1次産業の高付加価値化に貢献する新たなリサイクル技術のための有望な技術シーズでもあることが示唆されました。

公開された論文
Ryusuke Tanaka, Hirokuni Miyamoto, Shin-ichi Inoue, Kazuhiro Shigeta, Masakazu Kondo, Toshiyuki Ito, Hiroaki Kodama, Hisashi Miyamoto, Teruo Matsushita. Thermophile-fermented compost as a fish feed additive modulates lipid peroxidation and free amino acid contents in the muscle of the carp, Cyprinus carpio
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Journal of Bioscience and Bioengineering

関連URL
http://dx.doi.org/10.1016/j.jbiosc.2015.10.006

PubMed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26702954

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